東京地方裁判所 昭和46年(ワ)6110号 判決
原告
加藤ます
ほか三名
被告
有限会社東京リース興業
ほか一名
第二 主文
一 被告有限会社東京リース興業は、原告加藤ますに対し金一〇四万八〇〇〇円及び内金九二万八〇〇〇円につき、原告加藤武次郎・加藤勝栄・石橋一男の三名に対し各金五九万六〇〇〇円宛及び内金五三万六〇〇〇円につき、いずれも昭和四五年十一月二八日以降右各完済に至るまで年五分の割合による金員を附加して支払え。
二 原告らの、被告有限会社東京リース興業に対するその余の請求、被告淵上又喜に対する全請求を、いずれも棄却する。
三 訴訟費用は、原告らと被告らとの各自の負担とする。
四 右第一項に限り仮に執行することができる。
第三 事実
一 請求の趣旨
(一) 被告らは連帯して原告加藤ますに対し金四一七万一六一二円及び内金三八二万一六一二円につき昭和四五年十一月二八日以降右完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
(二) 被告らは連帯して原告石橋一男、加藤武次郎、加藤勝栄の三名に対し各金三一三万一〇七三円宛及び内金二八八万一〇七三円につき昭和四五年十一月二八日以降右各完済に至るまで年五分の割合による金員を各支払え。
(三) 訴訟費用は被告らの負担とする。
(四) 仮執行の宣言を求める。
二 請求の趣旨に対する被告らの答弁
(一) 原告らの請求を棄却する。
(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。
三 請求の原因
(一) (事故の発生)
訴外加藤四郎(大正十三年六月三〇日生)は次の交通事故によつて即死した。
1 発生時 昭和四五年十一月二八日午後四時四三分頃
2 発生地 千葉県松戸市二ツ木一九八番地先の国道六号線上
3 被告車 大型クレーン車(十一t車。足立八八や三四)
運転者 被告淵上
4 被害車 原動機付自転車(葛飾区う二二五三)
運転者 訴外亡加藤四郎
5 態様 道路左側端を走行中の被害車に被告車が接触、訴外亡加藤四郎は転倒し、被告車の前部より車体の下に入り、左前後輪で轢過された。
6 結果 右訴外人は頭蓋骨粉砕骨折兼脳挫滅により即死した。
(二) (責任原因)
被告らは次の理由により本件事故によつて生じた原告側の損害を賠償する責任がある。
1 被告会社は被告車を所有し、自己のために運行の用に供していたから、自賠法三条による責任。
2 被告淵上は事故発生につき前方・側方等の安全に十分注意すべき義務を怠つた過失があつたから不法行為者として民法七〇九条の責任。
(三) (損害)
1 葬儀費用 金四五万八二五五円
原告ますは、本件事故死した夫の訴外四郎の葬儀のため右金員を出捐した。
2 逸失利益 計金一、三〇〇万五五七六円
訴外四郎が死亡によつて喪失した得べかりし利益は、次のとおりであるから、別紙第一表のとおり算定される。
(勤務先) 東京都建設局東京都第五建設事務所補修課(作業員)
(死亡時の給与) 行政職給料表(二)の三等級一六号。但し昇給制度が確立されている。
(死亡時) 四六才
(稼働可能年数) 二〇年間
(控除すべき生活費) 各年収の三割宛
(年五分の中間利息の控除) ホフマン式計算による。
そして原告らは右訴外人の相続人の全部である。各法定相続分に応じ、原告ますは妻として金四三三万五一九二円を、その余の原告三名は各金二八九万〇一二八円宛をそれぞれ相続により取得した。
3 慰藉料 計金四〇〇万円
本件事故により一家の大黒柱であつた訴外四郎を亡した原告らの精神的苦痛は、はかりしれないものである。しかも被告側は示談解決を保険会社に委せたと称し、謝意を示さない。よつて原告ら四名とも各金一〇〇万円宛の慰藉料を請求する。
4 弁護士費用 計金一一〇万円
被告らが任意弁済に応じないので、原告らは昭和四六年六月二五日原告ら訴訟代理人らに対し本訴の提起と追行とを委任し、手数料として各金五万円宛(計金二〇万円)を支払い、謝金として原告ますが金三〇万円、その余の原告三名が各金二〇万円宛(計金六〇万円)を判決言渡の日に支払うと約した。
5 損害の填補 計金五〇〇万円
原告らは自賠責保険から金五〇〇万円を受領し、これをまず原告四名金一〇〇万円宛の慰藉料に充当した。残金一〇〇万円は葬式費用金四五万八二五五円と、原告ますの逸失利益に金五一万三五八〇円、その余の原告三名の逸失利益に金九〇五五円宛と各充当した。
(四) (結論)
よつて被告らに対し、連帯して、原告ますは残金四一七万一六一二円及び内金三八二万一六一二円(弁護士費用金三五万円を除く)につき、その余の原告三名は各金額三一三万一〇七三円宛及び内金二八八万一〇七三円(弁護士費用金三五万円を除く)につき、いずれも事故当日たる昭和四五年十一月二八日以降右各完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
四 請求原因に対する被告側の答弁
(一) 請求原因第(一)項中、5(態様)を争い、その余の事実は認める。
(二) 同第(二)項中、被告会社が被告車の運行供用者であつたことは認めるけれども、その余の事実は否認。
(三) 同第(三)項は不知。但し原告らが自賠責保険から金五〇〇万円を受領したことは認める。
(四) 同第(四)項は争う。
五 被告の抗弁
(一) (免責)
(1) 本件交通事故発生地は、国道六号線で幅員約一四米(片側二車線)の歩車道の区別ある道路で、いくぶん右にカーブしており、歩車道の間にはガードレールが設置してある。当時天候は晴であつたが、前日の雨のため道路端の土はぬかるんでいた。
(2) 被告淵上は、本件道路を水戸方面から東京方面に向けて進行していたが、当時交通量が非常に多く車両は渋滞しており、被告淵上は、前車の普通乗用車の後方約一四・五米のところを時速約二〇粁の速度で後続していた。そして、事故の直前は、被告車は前方五〇米位先の信号が赤のため数珠つなぎに停止していたところ、信号が変つて前車に続いて発進した。
(3) その前、被告淵上は、本件事故発生地手前五〇米位の交差点で信号待ちのため二~三台目に停止していたが、その際サイドミラーで後方を確認したところ、被害車は見当らなかつた。
(4) 訴外四郎は、渋滞車両の左側を次々に追い抜いて走行し、被告車を追抜こうとした際、本件事故発生地付近で、道路左端のぬかるみにハンドルをとられ、ガードレールに衝突し、その反動で、発進して、わずか二、三秒経過し、時速一五粁位で走行中の被告車に飛びこんできて、左前後輪に轢過されたものである。道路上には、被告車と衝突する前の被害車のスリツプ痕とガードルールに衝突した痕が明白に残つている。
(5) 被告淵上は、本件交通事故道路片側二車線のうち、歩道寄りの車線を時速二〇粁ないし一五粁の速度で進行し、同被告運転の大型車両と道路端との間には、一米の間隔があつた。同被告は、サイドミラーで後方を充分確認をしているし、センターライン寄りにも他の車両が併進していることからして、二つの車線にまたがつて進行することは考えられず、直ちにブレーキをかけて停車する以外非常措置を期待しうべくもなかつた。被告淵上には、非難さるべき何らの過失もない。本件交通事故は、訴外四郎の一方的な自損行為であり、追抜不適当、安全運転義務違反、運転の拙劣が唯一の原因をなしている。
(6) 被告には、構造上、機能上の欠陥は全く存していない。従つて被告淵上に民法七〇九条の過失がなく、被告会社は自賠法三条但書により、いずれも本訴請求は棄却されるべきである。
(7) 原告側は、「被告淵上の後方確認義務の不履行」を主張するが、原告側のいうとおりと仮定しても、それでは、後方を確認すれば、本件交通事故は避けられたというのであろうか。被告淵上は、被告車を左側に幅寄せしたわけでもなければ、左折行動に入つたのでもない。停止後低速で直進しているにすぎない。被害車がガードレールに接触転倒しない限り、本件事故は起きなかつたはずである。被害車が転倒することまで予測して、車両を停止すべき注意義務はない。
そもそも運転手の後方確認義務は、運転手の運転操作が危険回避に関係がある場合に言うのであつて、運転する限り、一時たりとも車両の廻り全てを凝視しなくてはならないような義務は無い。車線を変えたり、停止をしたり、左折右折態様に入る場合などに後方確認が必要なのであつて、低速で発進する場合、もともと走行車線に入つて信号待ちしていたにすぎなければ、後方を確認すべき法的義務はない。
被告淵上は、それでも後方を確認して、バイクの走行がないと確信していたのであり、停止車両をぬつて次ぎ次ぎと追い越をして来た被害車が視界に入ると同時に事故が発生するような状態だつたので、その二、三秒被害車が転倒してくる状態に気が付かなかつた非を責めるべきではなかろう。
(二) (予備的過失相殺弁済完了)
仮に、被告淵上に若干の過失が考えられるとしても、原告らが自賠責保険金五〇〇万円を受領していることからして、更に賠償すべき損害はありえない。
六 抗弁に対する原告側の答弁
(一) (免責の抗弁に対し)
第(1)項中、前日の雨のため道路端の土地がぬかるんでいたとの事実は否認し、その余の事実は認める。
第(2)項中、当時交通量が非常に多く車両が渋滞していたとの事実を否認し、被告淵上が前車の普通乗用車の後方約一四・五メートルのところを時速約二〇粁ないし一五粁の速度で後続していたとの事実は不知。その余の事実は認める。
第(3)項はすべて不知。
第(4)項中、スリツプ痕とガードレールに衝突した痕が残つていることを認めるが、これが被告車と衝突する前の被害車によるものであるとの事実は否認し、かつその余の事実もすべて否認する。
本件事故は次のようにして発生したものである。
すなわち、訴外四郎は本件事故発生地手前の交差点において信号待ちのため道路左側端の一番手前で停車していた。そして信号が青に変つてから被害車を発進させ、本件道路左側端にそつて進行し、一二三食堂の手前にさしかかつた際、並進車は前方五〇米位先の赤信号に従い停車していたけれども、左側端に被害車が通過するのに十分な余裕があつたので、そのまま走行し、被告車の停止していた一二三食堂の出入口に達し、被告車の左側方に進入した。その後二、三秒して被告淵上が被告車を発進させるにあたり側方・前後を確認しなかつたため、折から本件道路左側端にそつて走行しており、かつ、容易に発見できる被害車を見落して、道路左側に寄りすぎたため、本件事故が発生したものである。被告淵上が被告車を運転して被害車を追抜く場合には、単に前方および側方に注視するだけでなく、被害車はその構造上からも比較的不安定な乗物であるから、これとあまりにも接近して追抜くときは、たとえ直接接触しない場合であつても、被告車の動揺、風圧等によつて被害車の塔乗者が驚愕、狼狽の余り進路を誤り、あるいは平衡を失つて転倒するという事態の発生することも多いところであるから、このような場合には、単にこれと接触しないように進行するというにとどまらず、その右側に十分な間隔をとつて追抜くべき注意義務を課せられているものである。それにもかかわらず、被告淵上は被害車の右側すれすれに進行して被害車に接触し、更に被害車をガードレールに接触せしめ、転倒する被害車をはね飛ばし轢過したものであるから、被告淵上には右注意義務を怠つた一方的過失があり、本件事故は被告淵上の過失により発生したものであり、訴外四郎には何らの過失も存しない。
第(5)項中、被告車が片側二車線のうち歩道寄りの車線を走行していたことは認めるが、本件事故が訴外四郎の一方的な自損行為であり、追抜不適当、安全運転義務違反、運転の拙劣が唯一の原因をなしているとの事実は否認。その余の事実は不知。
第(6)項は不知。
(二) (予備的過失相殺弁済完了に対し)
第(二)項の事実中、原告らが自賠責保険金五〇〇万円を受領していることは認めるが、更に賠償すべき損害はありえないとの事実は否認する。
第四 理由
一 (事故の発生)
請求原因第(一)項中、5(事故の態様)を除き、当事者間に争いがない。この事故態様は、次の責任原因の項で認定したとおりである。
二 (責任原因、免責)
(一) 被告会社が被告車の運行供用者であつたことは、当事者間に争いがない。
(二) 事故態様につき検討する。
〔証拠略〕を総合すれば次の事実を認め得る。
本件事故発生地は国道六号(水戸街道)で、車道の幅員が一四米で片側二車線となり、歩道との縁石上にガードレールが架設され、水戸方面から東京方面に向つて、やや右にカーブしていた。
当時、夕方でもあつて、東京方面に向う自動車は多く、数珠つなぎに渋滞していた。被告渕上は被告車を運転して、第一通行帯(歩道寄)を歩道から一米足らず離れたあたりを前車に引続き低速走行していた。たまたま、本件事故発生地より前方五〇米位先にある信号機が赤を示し、数珠つなぎに停止待機していたところ、青信号に変り、徐々に発進していつたので、これに順応して被告車も発進し、せいぜい時速一五粁位になつたときガリガリという接触音と共に本件事故が発生し、直ちに被告車は停車した。
他方、訴外四郎は被害車を運転して水戸方面から東京方面に向け、比較的狭くても走れるバイクのため、渋滞中にもかかわらず、道路の左側端を走行追抜いて来て、被告車とガードレールとの間を被告車と同方向に走行していたところ、被害車が、如何なる事情であるかは判然としないけれども、被害車の左側がガードレールに接触擦過し、このはずみで走行の自由(バランス)を失い、訴外四郎は被害車もろとも被告車の左直前に倒れて被告車の左前後車輪あたりで轢過され、本件事故が発生した。なお被告渕上としては、被害車が後方から追上げ走行して来たことを全く認識していなかつた。
この事故の経過の骨子は別紙見取図のとおりである。
右認定事実によれば、被告車が発進した直後で、せいぜい時速一五ないし二〇粁位で直進中、その左後方からバイクであることを利用して、僅かな間隙を走行して来た被害車が、左側のガードレールに接触擦過し、その衝撃で、訴外四郎は被害車もろとも被告車の左直前に転倒して、被告車に轢過され、本件事故となつたものというべきである。
従つて被告車の運転者たる被告渕上に民法七〇九条の過失の立証があつたとは認め難いので、その余の判断を加えるまでもなく、同被告に対する請求は理由がない。しかし、被告車の運行供用者たる被告会社及び訴外二階堂運転手に、自賠法三条但書の「自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと」の立証まで尽されたとは認め難いから、免責の抗弁は採用できない。
そして本件事故によつて生じた原告側のいわゆる人身損害の実質的公平な分担をはかる意味で、過失相殺として斟酌する割合を、被害車側が六割、被告車側が四割と認めるのを相当とする。従つて被告会社は自賠法三条により、原告側の次の認容されるべき総損害の四割相当額を賠償する責任がある。
三 (損害)
(一) 葬儀費用 金三〇万円
〔証拠略〕によれば、原告ますは夫の訴外四郎の葬儀のため金四五万円余の出捐をしたことが認められる。しかし、その内容を詳細に検討すれば、被告側に負担せしめる分としては金三〇万円をもつて相当と認める。
(二) 逸失利益 計金一四五四万円
〔証拠略〕によれば、次の事実を認める。即ち訴外四郎は大正十三年六月三〇日生れの健康な男子として昭和二四年から東京都の作業補助員ないしは作業員として勤務し、家族として妻たる原告ますをもつ夫であり、その余の原告三名を子供にもつ父親であり(但し原告一男は昭和四四年十二月六日付で石橋夫婦のもとへ養子縁組ずみであつた)、一家の生計を保つて来ていた。本件事故当時の実情とこれから将来の稼働可能性については、次のとおり認めることができる。
(勤務先) 東京都建設局東京都第五建設事務所補修課作業員
(死亡時の給与) 行政職給料表(二)の第三等級第一六号
(昇給) 毎年一回宛で、その昭和四六年以降一八年間の各年収は別表該当欄のとおり。
(死亡時) 四六才。
(稼働可能年数) 一八年間。
(控除すべき生活費) 各年収の三割宛。
(年五分の中間利息の控除)
過去の昭和四六年、四七年の二カ年分はホフマン式(法定利率による期限付債権名義額に対する各期の現価額表)により、昭和四八年以降一六年間はライプニツツ式(法定利率による複利現価表)により計算するのを相当とする。
即ち過去二カ年分は複利の運用し得ないので単利を前提とするホフマン式計算で年五分の割合による控除したので問題はない。第三年目分以降は判決時からみて所謂将来分となるので複利で運用できる予定のもとに年五分の中間利息を控除するのを相当とする。そして第三年目分以降につきライプニツツ式計数の第一年目以降一六年までの分を順次使用して毎年算出する。もしも第三年目以降の算出につき、第三年目以降のライプニツツ式計数を用いることは、複利で運用可能と想定される初年度から、係数上第三年目のものを使用することになり、控除しすぎで不合理である。他面、本訴では遅延損害金を本件事故発生日以降求めており、当裁判所もそのとおり認容する以上、事故時点において如何程の逸失利益額であつたかを算出するためには、事故時までの二カ年間を遡る必要があるので、第三年目以降第一八年目までの一六年間の合計金一、三八七万六九六九円に限り、遡る二年分の割合による遅延損害金相当額を控除して算出するのを、より合理的な方法とする。
<省略>
右認定事実によつて算出された、逸失利益は、事故直後の二カ年分計金一九三万三五八二円と第三年目以降の一六カ年分計金一、二六一万五四二六円との合計金一四五四万九〇〇八円と計算される。しかし、不確定要素と控目算定の判例の趣旨も斟酌し、金一四五四万円をもつて訴外四郎の逸失利益と認めるのを相当とする。以上の計算は別紙第二表のとおりである。
なお、この数額は、原告側で主張する金一三〇〇万五五七六円を超過しているけれども、原告側で計算の基礎とした給与月額が、その給与改定前の表に依拠しているためにすぎず、改定後の本件事故死当時の給与表(前出の甲第二号証のとおり東京都建設局総務部長よりの回答)によれば、当裁判所の認定した各年収になる。しかし原告側は、いずれ過失相殺されて原告側で主張する額よりも低下する可能性があるので、敢て逸失利益の数額を訂正しなかつたことは、弁論の全趣旨によつて推認し得る。この意味で、原告の主張額より超過した逸失利益を総額において、まず認定した。
〔証拠略〕によれば、原告らが右訴外四郎の相続人の全部であつて、原告ますが妻で、その余の原告三名が嫡出子であることを認め得る。従つて、法定相続分に応じ、原告ますが三分の一にほぼ相当の金四五二万円、その余の原告三名は各九分の二にほぼ相当する金三三四万円を各相続承継したものと認めるのを相当とする。
(三) 慰藉料 計金四〇〇万円
前認定の諸事実によれば、原告らの精神的苦痛に対する慰藉料として原告らに対し各金一〇〇万円(計金四〇〇万円)をもつて相当と認める。
(四) 損害の填補 金五〇〇万円
原告らが自賠責保険から金五〇〇万円を受領していることは、当事者間に争いがない。
(五) 過失相殺と差引計算 残計金二五三万六〇〇〇円
以上損害額の合計は、原告ますが金五八二万円、その余の原告ら三名が金四三四万円宛となり、過失相殺した残りの四割相当額は原告ますが金二三二万八〇〇〇円、その余の原告ら三名が金一七三万六〇〇〇円となる。これらに前記填補金五〇〇万円の配分につき、原告ますに金一四〇万円、その余の原告三名に各金一二〇万円宛充当するのを相当と認める。結局、差引残金は、原告ますが金九二万八〇〇〇円、その余の原告ら三名が各金五三万六〇〇〇円宛となる。
(六) 弁護士費用 計金三〇万円
被告側で任意弁済に応じないので、原告らは原告ら訴訟代理人弁護士両名に対し本訴の提起と追行とを委任し、その費用として、原告ますが金三五万円、その余の原告三名が各金二五万円を支払う旨を約束していることが、弁論の全趣旨によつて認め得る。しかし訴訟の全経過及び訴訟費用を各自の負担とすることも斟酌して被告会社に負担せしめる弁護士費用としては原告ます分として金十二万円、その余の原告名分として各金六万円宛(計金一八万円)をもつて相当と認める。
四 (結論)
よつて被告会社に対し、原告ますが金一〇四万八〇〇〇円及び内金九二万八〇〇〇円(弁護費用を除く)につき、その余の原告三名が各金五九万六〇〇〇円宛及び内金五三万六〇〇〇円(弁護士費用を除く)につき、いずれも事故の日たる昭和四五年十一月二八日以降右各完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で正当として認容し、その余は失当として棄却し、民事訴訟法九二条、九三条、一九六条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 龍前三郎)
別紙
第一表 原告主張の逸失利益計算表
<省略>
第二表 認容した逸失利益計算表
<省略>
第三表 判決認容額計算表
<省略>
見取図
<省略>